ウィメンズマーチ熊本

 

ウィメンズマーチ熊本は、3月8日の国際女性デーに合わせて2020年から毎年開催しています。

公式Twitterで開催情報等を発信しています。

ウィメンズマーチ2022 報告

 3月6日、昨年に引き続き、今年もウィメンズマーチ熊本が開催されました。今年のテーマは、「Enough is enough! 伝え合おう、ともに歩こう」で、新調した横断幕とそれぞれが思い思いに作成したプラカードを掲げて、暖かな日差しのもと、街なかを歩きました。それらのプラカードの中には、ジェンダーに基づいた差別や偏見・暴力などに関連するもののほかに、時節柄、ロシアによるウクライナへの侵攻に関連して、「反戦」、「平和」などを掲げたものも見受けられました。また、今年は手話通訳をつける試みがされました。

 行進したルートは、白川公園をスタートし上通→下通→新市街を通って、一旦花畑公園で休憩と集会をして、再び解散場所の市役所前まで歩くというものでした。途中、歩きながら楽しそうに踊っている参加者もいました。

 休憩地点の集会では、実行委員長をはじめとして参加者数名からの発言とWeb上で募集したメッセージが代読されました。

 参加者からの発言の中で印象深かったのは、2020 年、熊本県芦北町で起きたベトナム人技能実習生の孤立死産事件に関するものでした。「ウィメンズマーチ熊本2022 声明文」に事件の概要が詳しく書かれていますが、発言を聞いていてとても悲しくてやりきれない気持ちになりました。また、「孤独死産は、犯罪ではない」という言葉が耳に残りました。

 Web上に寄せられたメッセージには、LGBTQ+のこと、性暴力の被害のこと、経済格差についてなどがありました。ここでの発言やメッセージを通して、ジェンダーに基づいた差別や偏見・暴力などが多岐にわたっていることを再認識することができました。

 集会が終わって、再び解散地点の市役所前まで歩きました。解散後、希望した人たちが上通のオモケンパークに移動し、楽しい時間を過ごしました。

 なお、今年の参加者は60名で、ご寄付を9,366円いただきました。

 

 また来年、お会いできることを楽しみにしています。(実行委員Y.S) 

ウィメンズマーチ熊本2022 声明文

 新型コロナの流行によって女性を取り巻く様々な問題がより一層深刻化した昨年3月、これ以上ジェンダーに基づいた差別や偏見、暴力に苦しむ一人ひとりを無視できないという思いで熊本市内を歩きました。それぞれの思い、訴えを言語化したプラカードやコールで街ゆく人々に訴えました。あれから一年。今、私たちの置かれた状況はどうでしょうか。

 日本では、今も女性の収入の減少や失業、ケア労働(家事、育児、介護など)の増加、ひとり親家庭の貧困、自殺者の増加、配偶者等から受ける暴力の増加、そして、いっこうに縮まらぬ世界ワースト2位の賃金格差など無数の看過できない問題が解決されぬまま放置され、昨年の声明文に挙げた現状と何ら変化が見られません。むしろ継続的な経済への打撃により、女性や社会的に影響を受けやすい人が置かれた環境はより一層深刻さを増しています。

 2020年に熊本県芦北町で起きたベトナム人技能実習生の孤立死産事件も未だ解決には至っていません。日本の労働人口不足、それを補うため本来は技能実習を目的に来日している技能実習生を労働力として転用している現実、技能実習生を含む外国人への人権侵害の放置、セクシャル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(性と生殖の健康と権利)が守られない環境など日本が抱える数々の問題の負の連鎖が生んだ悲惨な事件です。劣悪な労働環境と支配下で、誰にも相談できずに赤ちゃんを死産し、言葉も思うように通じない国で有罪を問われた彼女の精神的、肉体的なダメージは計り知れません。彼女の無罪を支持する署名は6万を超えたにも関わらず、福岡高裁は再び有罪判決を下しました。彼女は「自分自身と他の実習生の苦しい現状を変えていくため、そして妊娠や出産しているすべての女性のために」と控訴し、今も闘っているのです。

 これらの問題を決して、他人事として無関心なままではいないでください。むしろこの国に住む私たち一人ひとりの課題であり、どれだけ真剣に向き合うかが問われています。

 私たちの何気ない日常にも目を向けてみてください。家庭、教育の場、職場、マスメディア、広告など私たちが日常的に属する社会組織や触れる情報の中にいったいどれだけのジェンダーに基づいた差別や偏見が常態化しているでしょうか。果たしてそれらはどれだけ私たち一人ひとりの思考や選択肢にも影響しているでしょうか。未だに、機会や選択肢がジェンダーによって限定され、本当に学びたい、挑戦してみたいという思いを断念せざるを得ない人がいることが残念でなりません。

 近年はジェンダーを考える機会も以前より増し、人々の関心や意識に変化が見られるのは事実かもしれません。しかし、実際に声を上げる人や現状を変えようと様々な取り組みが行われるようになっても未だ現状はほとんど変わっていません。

 そもそもおかしいと思っていても反論や抵抗ができない立場に置かれている人、声を上げたくても、いったい誰にどう伝えればよいのか分からない場合だってあります。差別や偏見にさらされながらもそれが差別であることすら見えにくい構造の中にいたり、「こんなもんだ」「自分でどうにかするしかない」と半ば諦めてしまったり、日常に追われそんなことを考える余裕も時間もないのかもしれません。だからこそ、私たちはウィメンズマーチで連帯し、女性(と自認する人)たちの声を広め、互いに思いを伝え合いながら、一緒に声を上げ続けます。ジェンダーに基づいた差別や偏見を生み出す認識や社会構造を変えて、ジェンダーに関わらず誰もがベストバージョンで自分の未来を切り開く世界のために一緒に歩きましょう!!

 

※ウィメンズマーチ熊本は、LGBTQ+、出自、民族、人種、国籍、障害、年齢に対するいかなる差別も認めません。

 

ウィメンズマーチ熊本2022実行委員会